赤ちゃんが泣いているとみんな「可愛い!」と言う。
奇声を上げ続けると、寝不足の親はうんざりして「もう、いいかげんにしてよ」と言う。
赤ちゃんは話せないので、大人は勝手に解釈するしかない。
ある朝、うちの子に「おはよう」と声をかけたら、何も反応がなくて、虚空を見つめて放心状態になっていたことがあった。
散々泣き、叫び、うなり続けた夜が明けた朝だった。
その時にある考えが浮かぶ。
ひょっとしたら、この子は人生の大きな苦悩の中にいるんじゃないだろうか。
世界という混沌と対峙し、苦悩し、疲弊しきっているんじゃないか。
不安や恐怖を感じても誰かに分かってもらうことはできず、その感情が何なのかを理解することもできずに、孤独の中で絶望しているんじゃないか。
もしそうだとしたら…
赤ちゃんには優しくしないといけない。