何年か前に、上野の水上音楽堂の客席に座っている笠木さんを見た。
反戦を歌う仲間を、じっと見つめていた。大きな人だった。
幼い頃、記憶が始まるか始まらないかの、
いま考えると、わらぶき屋根の家 なんて悲しい歌を家族みんなで歌っていたのだから面白い。
"逃げるようにあの村を出てきたのだけれど
いつの日か帰りたい ふるさとの家"
父も母ちゃんもいなくなり、
友達も犬も、小さな妹もいなくなる話。
それでも、陽気なメロディーが弾んだ。
笠木さんの音楽は鮮やかで柔らかい。
あれからずっと、どんな音楽にも絵にも「笠木さんのようなもの」
笠木さん、ありがとうございました。